『影響力の武器』(ロバート・B・チャルディーニ)を読んだ

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

本書は、人の態度や行動はどんな状況や情報に影響を受けやすいのか、またそれを悪用しようとする者からどう身を守るかについて書いてある。インターネットのどこかで目にして気になったので読んでみたのだけど、読み始めてみたら自分の興味範囲と重なっていることに気がついて、400頁の厚さも気にならなかった。普段のデザインの仕事で、人の行動を正しく導くために活用できそうな点もいくつか見つけられた。

内容は、目次を見るのが一番わかりやすいだろう。主に次の6つの心理的な力が紹介されており、豊富な事例とその考察が展開されている:

  • 返報性
  • コミットメントと一貫性
  • 社会的証明
  • 好意
  • 権威
  • 希少性

それぞれどれもが興味深いけれど、やはりエッセンスとしては、第1章で触れられている自動的な行動パターンを指すカチッ・サーに凝縮されるのだろう。著者も、何度も言及している。人が文化や慣習にどう向き合っているかに影響を受けそうだが、行動する時、行動させる時、そして行動させられる時に、本書で取り上げられている心理的な力が及んでいるかどうかを確認するプロセスを挟むと、その行動を増幅あるいは減衰させる手段が取れる、ということなのだろうと理解した。

ブックダーツコーナー

私たちは、二番目に提示されるものが最初に提示されるものとかなり異なっている場合、それが実際以上に最初のものと異なっていると考えてしまう傾向があるのです。
p.22(§ 影響力の武器)

水の温度、紳士服売り場、不動産などが取り上げられている。経験があるので気をつけよう。

コミットメントが効果的に影響を及ぼすためには、いくつかの条件が揃っていなければなりません。行動を含むこと、公表されること、努力を要すること、自分の意思で選ぶこと、です。
p124(§ コミットメントと一貫性)

人は自分が外部からの強い圧力なしに、ある行為をする選択を行なったと考えるときに、その行為の責任が自分にあると認めるようになります。
p. 150(§ コミットメントと一貫性)

自分が主体的に行動していることを感じると、自分のモチベーションが高まっていることを感じる。

集団のかなりの数のメンバーが納得したという生の情報が、それ自体、他のメンバーを納得させるのです。
p.248(§ 社会的証明)

知らない場所に初めて行った時のことを思い出すと、自分の行動はまさにそれなので。本文では、社会的証明の原理が最大化するように環境を整えたリーダーが見事だったと言っているけど、これを抽象的に解釈すると、リーダーのコンピタンスってそういうことかとなった。

三種類の権威のシンボル—肩書き、服装、装飾品—
p.350(§ 権威)

5年前の書物なので、この5年で、何か新しいシンボルが出てきているかもしれない。とは言っても、これはこれで、そういう文化も引き続き存在するだろうし、普遍的な趣を感じる。

心理的リアクタンス理論によれば、自由な選択が制限されたり脅かされたりすると、自由を回復しようとする欲求から、私たちはその自由(および、それに結びつく物やサービス)を以前より強く求めるようになります。
p.388(§ 希少性)

仕事にも同じようなこと沢山あるよなあと思ったのでした。