『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』(小山田育, 渡邊デルーカ瞳)を読んだ

ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと

ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと

  • 作者: 小山田育,渡邊デルーカ瞳
  • 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
  • 発売日: 2019/04/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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書名の通り、経営者を主な読者と想定して、アートディレクターがブランディングについて説いた本である。著者らのニューヨークと日本論が語られ、世界の(ニューヨークの?)ビジネスの流れが示され、なぜブランディングが必要なのかが説かれる。200頁でゆったり組まれた本なので、ライトに外観を掴むのには悪くないだろう。

それから、ブランドシステム(ブランドDNAとビジュアル・アイデンティティ)を中心に据えて、一貫性のあるブランド・コラテラル(様々な媒体の成果物)を展開していきましょう、という風に、ブランディングを行う上での手法と事例がコンパクトに示される。

本書で言うブランディングとはなにか。このように書いてある。

時代や環境、顧客ニーズを考えながら、企業/商品/サービスなどの持つ「らしさ=個性」を引き出し、価値を作り上げ、お客さまに与える総合体験の全てにおいて正しく演出し、伝わりやすく魅力的にデザインすること
p.82(ブランディングとは何か)

デザイナーらしい定義だと思った。ひとことで言うと世界観の統一と言うことになるのだろうか。マーケティング上の戦略を踏まえて、ブランドの価値観、振る舞い、コミュニケーションの仕方、言葉の使い方、見た目の雰囲気など客が触れる部分に一貫性を持たせること。

本書の例で分かりやすかったのは、洋菓子を売りたいとき、試食や贈り物でもらうことがなければ、客は購買するまでは実際に商品を体験する機会がないというもの。それでは何をみて購買を判断するのかと言うと、洋菓子ブランドに関わる全ての要素が醸し出す雰囲気であると。これをLook and Feelと言うらしい。実質的な商品の価値も大事だけど、周辺にあるブランド・コラテラルが判断材料になると改めて認識した。

余裕がないとそれらのクオリティ管理コストを削減したくなる場合もあるだろうが、そうじゃない、ということなのだと思う。中途半端にやるくらいならやらない方が良いのだろう。

感想

ブランドシステムを作るときにどのような中間成果物を揃えていくと、システムをシステムらしく運用できるかを知ることができたのは良かった。ただ、なぜそれが必要なのかは示されておらず、深い理解に及ばなかったのが残念。ある程度知識がある人が復習的に読むのには良いのかもしれない。

本書で外観と実践の全体像を掴むことができたので、次はより体系的な、あるいは本質的なトピックを扱うような本を探してみたいと思う。